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デッキ・縁側・縁台について

はじめに

庭に“床”をつくるという行為には、建築的な理由と、人の暮らしの願いが重なっています。

 

デッキや縁側は、家の中と外をゆるやかにつなぐ「中間の空間」。

 

夏の夕涼み、子どものプール、洗濯物を干す、腰をかけて休む。

 

人はいつの時代も、暮らしの延長に“ひとつの床”を求めてきました。

 

今回は、ウッドデッキ・タイルデッキ・縁側・縁台の構造と役割を、素材の優劣ではなく、「なぜ必要とされるのか」という視点から考えてみましょう。

 

デッキとは

建築的に見れば、デッキとは「屋外に設けられた水平な床面」です。

 

リビングの延長として庭へと空間を広げる構造であり、外に出ても安心できる“もうひとつの床”。

 

支えるための下地や束柱、防草砂利を敷くかどうかで、仕上がりや維持性が変わります。

 

重要なのは、素材よりも「どのように支えられているか」という構造的な理解です。

 

縁側と縁台

縁側は、もともと日本家屋で雨戸や障子の外に設けられた板の間でした。

 

屋内と屋外をつなぐ“間の領域”として、風や光を取り入れ、人が腰かけ、会話を交わす場所。

 

縁側のイメージ写真

 

縁台は、その文化を簡略化した「庭のベンチ」のような存在です。

 

そこには「家と庭の間で過ごす」という日本人の生活感覚が生きています。

 

暮らしとデッキの関係

デッキには、大きく三つの欲求が重なっています。

 

  1. リビングの延長として外へつながる空間
  2. 家族や子どもと季節を楽しむ場所
  3. 庭への行き来を助ける“腰かける床”

 

リビングとデッキの一体空間

 

人はいつか、座る・立つ・外を見るという動作の中に「距離の心地よさ」を求めます。

 

デッキで過ごす時間のイメージ

 

デッキや縁側は、その小さな心地よさを形にした空間です。

 

現代のデッキ仕様

どちらが良いではなく、目的によって選び方が変わります。

 

ウッドデッキ&タイルデッキの構造比較

 

比較項目 ウッドデッキ 人工木 タイルデッキ
素材 樹脂+木粉 人工木材 磁器タイル+コンクリート下地
構造 束柱と根太の上に床板を張る
下は防草砂利 or 土間コン
下地コンクリートにモルタル貼り
基礎と一体化しやすい
高さ調整 束柱で調整しやすい
段差・スロープ対応可
打設で自由度あり
ステップ設計で美しく納まる
表面温度 夏は熱くなりやすい
素足では高温注意
熱を持ちにくく快適
耐久性 約20年前後 約50年以上 構造体同等
劣化要因 紫外線による人工木材の反り・退色 目地からの白華・タイルの浮き
メンテナンス ほぼ不要だが色あせあり 汚れ・油・火に強く掃除が簡単
質感 木の温もり・やわらかい印象 重厚感・高級感・外観統一
デザイン 木目調・浮造り・板目など 木目調・300角・600角・大判タイルなど
施工期間 約1〜2日 約3〜5日 下地養生含む
用途イメージ リビング延長・休憩・子どもプール 屋外リビング・玄関階段との一体設計

※タイルデッキの耐久年数は、下地構造を含めた目安です。目地や接着層の補修は10〜20年周期で行うのが理想です。

 

人工木デッキ 基本構造

人工木デッキ 基本構造

タイル標準施工断面図

タイル標準施工断面図

 

デザインの種類と印象の比較

 

比較項目 ウッドデッキ 人工木 タイルデッキ
デザインパターン 浮造り・木目調・シンプル板目 木目調タイル・300角・600角・大判タイルなど
色調の印象 ナチュラルブラウン系が中心
柔らかく明るい雰囲気
グレージュ・ホワイト・石目など
建物との統一感が出しやすい
質感 温かみ・軽快感・自然な素材感 重厚感・高級感・シャープな印象
空間イメージ 家族のくつろぎ・生活感・やさしさ ホテルライク・外構デザインの一部として統一
おすすめの用途 リビング続き・子ども・ペットスペース 屋外リビング・玄関階段・テラス空間

 

タイルデッキ外構施工例1

 

タイルデッキ外構施工例2

 

まとめ

デッキも縁側も、支えがあって初めて形になる“床”です。

 

素材や価格の前に、その床がどのように支えられ、どんな時間を生み出すのかを考えること。

 

それが、外構を「暮らしの一部」として育てていく第一歩です。

 

※掲載画像の一部は、メーカー公式サイト「LIXIL」様および「三協アルミ」様より引用・転載しております。

 

監修:荻野勝幸(一級左官技能士・一級エクステリアプランナー)

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