タイヤ痕、金鏝仕上げとの関係
2025/10/25
「せっかくのコンクリート仕上げにタイヤ痕がついた」 そう感じる方が多いですが、実はそれは悪いことではありません。
見た瞬間はショックでも、これは構造の性質による自然な反応です。
正しい理解とケアを知れば、土間コンクリートは長く美しく保てます。
また業者選びの判断、業者の技術力も知り得ます。
目次
なぜタイヤ痕はつくのか
コンクリート表面を金鏝(かなごて)でしっかり押さえる、つまり圧をかけて締め固めることで表面が緻密になります。
タイヤはゴム成分とカーボンを含むため、熱と圧力が加わるとわずかに色が移ることがあります。
締まりの良いコンクリートほど付きにくく、鏝圧が掛かってないほどベタっとしっかりとタイヤ痕が付着します。
鏝圧に関係なく、初期のうちはこの現象が出やすいのです。
それは「締まりが良い証拠」でもある
表面へしっかりと鏝圧が掛かり、締まっているからこそ、タイヤ痕は目立ちにくく、
逆に、鏝圧が弱く、締まりが甘いコンクリートでは痕が付きやすく、目立ち、摩耗しやすい状態となってます。
つまり、見た目ではなく仕上げの程度差、技術力が、構造が健全であるサインと考えるのが正解です。
時間が解決するケースが多い
施工直後の1〜2か月は、まだコンクリートが呼吸しています。
表面の水分量が落ち着くと、タイヤ痕は自然と薄くなります。
日光や雨の作用で徐々にトーンが均一になっていきます。
数年後には表面が風化し、自然なトーンに落ち着きます。 中性化によって表層が荒れ、タイヤ痕は付かなくなります。
気になれば、正しいお手入れ方法
- まずは水だけで軽く洗う。高圧洗浄は弱めに設定。
- 落ちない場合は中性洗剤を薄めて優しくブラッシング。
- 強い溶剤や漂白剤は使わない。表層を痛め、ムラの原因になります。
やってはいけない対処
- 強力洗剤で擦る → 表層の保護膜が削れる。
- 研磨パッドやワイヤーブラシでこする → 逆にムラが残る。
- 乾く前に車の切り返しを繰り返す → 摩擦熱で痕が強調される。
季節と使い方のコツ
特に夏場の新車タイヤは、ゴムが柔らかく痕が残りやすいです。
施工から2週間ほどは、急角度のハンドル切り返しを避けるだけで違いが出ます。
冬場は気温が低く乾燥も遅いため、落ち着くまで少し時間を見ましょう。
実際の現場での声
お客様の中には、「2、3カ月ほどで自然に消えた」「最初だけで今は気にならない」という声が多いです。
現場では、夏の納車直後に痕が出ても、秋には全く気にならなくなるケースもあります。
これは施工不良ではなく、素材の性質による一時的な現象です。
コンクリート工学博士が語る「美しさ」
「コンクリートの表面は素肌の美しさがもっとも綺麗です。 コテ押さえは、耐久性の高い打放し面を造ることが目的です。」
まさにこの言葉が、金鏝押さえ仕上げの本質を語っています。
見た目のツヤや色よりも、素材そのものの素肌の美しさを大切にする。
それが、本当の意味での“職人の仕上げ”です。
まとめ:タイヤ痕=悪ではない
タイヤ痕は、施工の失敗ではありません。 締まりの良い金鏝仕上げの証拠であり、時間とともに落ち着きやがて付着しません。
慌てて落とそうとせず、まずは時間を味方にしてください。 コンクリートは“生きている素材”です。呼吸しながら強くなっていきます。
大切なのは、慌てず正しい知識で付き合うこと。 構造を理解していれば、不安は「納得」に変わります。
よくある質問
Q:ずっと残りますか?
A:多くは自然に薄まります。表層を削ると逆にムラになります。
Q:仕上げが悪いのでは?
A:締まりが良いほど初期に出やすい傾向です。鏝の入れ方やタイミングで差が出ます。
Q:防ぐ方法はありますか?
A:完全にゼロにはできませんが、納車前に散水して冷ます、切り返しを控えるなどで軽減できます。
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監修:荻野勝幸(一級左官技能士・一級エクステリアプランナー)













