デザインコンクリート|スタンプコンクリートの歴史や由来について専門家が解説
2019/01/17
アメリカから日本へ広がったコンクリートの新しいデザイン
「スタンプコンクリートって、いつから日本で使われているの?」
「どんな会社が最初にはじめたの?」
スタンプコンクリートの歴史について調べたい……という建築・土木学科の学生さんや業界関係者の方、もちろん一般のお客様も、スタンプコンクリートの歴史について知りたい方にご紹介します!
メイク・プラスターは創業から半世紀以上、私自身も30年近い職人歴という年月を重ねてまいりましたが、創業当初からスタンプコンクリートを扱う事業者だったわけではありません。
スタンプコンクリートを事業として始めたのは2012年のことです。当時は外構業界内でさえ、ほとんど知られていませんでした。インターネットで「スタンプコンクリート」と検索してヒットするのはほんの数ページだったように記憶しています。
現在では施工業者も相当増え、インターネット上でも簡単にスタンプコンクリートについて調べることができるようになりました。
スタンプコンクリートとは?まずは基礎知識を知りたい方はこちら!
とはいえ、一般の方にとっては「スタンプコンクリート」という名称をご存じの方のほうが少ない、というのが現状です。
日本国内で初期からスタンプコンクリート普及に努めてきたものとして調べてきた、スタンプコンクリートの歴史・由来についてご紹介します!
スタンプコンクリートについてもっと詳しく知りたい方向けの記事となりますが、参考になればうれしく思います!
アメリカで生まれたスタンプコンクリート
私の調査では、スタンプコンクリートの発祥はアメリカです。約100年近い歴史があり、請負工事業者も数多く存在しています。
スタンプコンクリートは、3名のアメリカ人によって現在のスタイルが確立されました。
【リン・メイソン・スコフィールド氏】
1915年、コンクリートその物に直接色を加え、意匠性を持たせた人物です。「ご飯・白米に直接味を加える、味ご飯・炊き込みご飯を思いついた」と言ったところでしょうか。
【ブラッド・ボーマン氏】
1950年頃、コンクリートに直接手を加え、模様や形を付けられるような道具、すなわち造形を行うための型(かた)を発明・開発した人物です。この時点がスタンプコンクリートの起源と言えるのではないでしょうか。最初の原型は木を使って作られたそうです。その後板金・アルミ鋳物と研究開発を繰り返し、アルミ製の型を確立しました。
【ジョー・ナスビク氏】
1970年後半、合成ゴムで制作されたゴム製の型(かた)、今日のスタンプコンクリートの原型でもあるマットが発明されました。世界中でゴム製が主流となり、現在に至っています。この「ゴム製の型」がより多くの工事請負業者が増えた要因のひとつと言われています。これは、印鑑・ハンコ業界でシャチハタスタンプが完成し、市場に流通し始めたような出来事です。
3名の方には本当に敬意を表します。元祖イノベーターと言っても過言ではありません。
世界のスタンプコンクリート
ちなみに、アメリカで広く使われ、認知されているキーワード・用語としては、「コンクリートに装飾をする」と言った単純な意味合いで、「デコレイティブ コンクリート」、と言う呼称が使われています。「スタンプコンクリート」と発音しても、海外では通じないかもしれません。
世界的に通用する呼び名呼称は2つあります。
・decorathive concrete (デコレイティブ コンクリート):装飾的なコンクリート
・stamped concrete (スタンプド コンクリート):押したコンクリート※edが付きます
アメリカでは日本よりも一般的に認知されているため、あらゆる建築物で採用されており、専用資材の開発・製造元から専門の工事業者も多数存在して、切磋琢磨しているのです。
なんと「スタンプコンクリートの専門誌」や「ハウツービデオ」、専用の材料・工具類まで一般の個人ユーザーが簡単に購入できるほど広まっています。
そして、資材や材料の進歩によって、床面だけではなく壁面にもスタンプコンクリートの技法が使われるようになりました。
ラスベガスの商業施設、全米各地のレジャーランド施設など美しいデザインを求められる建築物で使われ、今ではオーストラリア方面、アジア諸国、中東、ヨーロッパ各地でも広がりをみせています。
「商品資材の研究開発・販促方法や見せ方に関しては合理的な考えを持ちつつ、エンターテイメント性も兼ねた意識や思考が絶え間ない国だな」と実際にアメリカに行き、肌で感じてきました。
日本国内でのスタンプコンクリートの歴史や由来
スタンプコンクリートがはじめて日本で使われたのは約40年前と言われています。二つのきっかけがありました。
1つ目のきっかけは、1983年に開園した東京ディズニーランド。開業工事に伴い、アメリカ本国のウォルト・ディズニー・プロダクション(当時)からのノウハウ提供を受け、導入されたのが初めての施工だとされています。
技術やノウハウはもちろんこと、本場アメリカの雰囲気を再現するために導入されたのでしょう。建設工事においても、直接アメリカ人関係者の指導がなければこの工事はできなかったと言われています。
2つ目のきっかけは、同じころ、アメリカのスコフィールド社の関係者が来日し、各地でデモ施工・宣伝プロモーションを兼ねた研修講習会を開催したことです。
その後工事に携わった方や業界関係が「きっとこの商材は日本でも使える、売れる」と商機を捉えたものの、一般のご家庭で「コンクリート」を使うケースは当時の日本では少なく、技術力やコンクリートについての知識も必要なため、普及には長い年月が必要でした。
しかしここ数年、住宅工事外構のデザイン、公共施設・商業施設等のランドエスケープデザインとして多くの現場でスタンプコンクリートが使われるようになりました。住宅メーカーや建設会社の「屋外」の施工事業者のなかでの知名度は上がっています。
また、インターネットの広がりにより、本場アメリカの情報や資材の購入にも簡単にアクセスできるようになっています。
「景観をおしゃれに、美しく見せたい」というご要望にお応えすべく、ここ数年、各地の専門工事現場で確実にスタンプコンクリートの技術が広がってきました。
私たちメイク・プラスターももちろん技術普及に協力しています!
※今回のまとめた記事は、あくまでも私の経験と独自の調査に基づいた内容だとご理解下さいませ。
また、ご協力いただいた方には、感謝を申し上げます。今回お読み頂き、わからない事やご不明な点、誤り等がございましたらぜひご連絡を待ちしております!
執筆者:株式会社 メイク・プラスター 荻野勝幸 1級左官技能士、1級エクステリアプランナー