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フェンスの素材と工法について

はじめに

フェンスは付けるものではなく、支えによって立っている構造物です。

 

家やカーポートと同じように、支柱があり、基礎があり、その上に本体があります。

 

風を受け、雨を受け、年月を経ても倒れないのは、見えない部分に理由があります。

 

まず立っている理由を知って欲しいと思います。

 

 

支える基礎を知る

フェンスの安心・安全は、目に見える部分よりも、地中に隠れている部分にあります。

 

支柱の根入れ深さ、基礎の形状、固定の仕方によって、風への強さや安定性が決まります。

 

見えない構造が、見える美しさを支えている。それがフェンスの本質です。

 

 

フェンス素材のちがい

住宅外構で使われる主なフェンス素材は、次の3種類です。

 

素材 主な特徴 耐久・注意点
アルミ

軽量で錆びに強く、デザインの自由度が高い。
木調やメタリック調などのラッピング仕上げも選べる。

鋳物調のアルミ製もある。

ほぼノーメンテナンスで、耐用年数は30年以上。玄関・サッシ窓と同等性能。
スチール 鉄が主材だが、電気亜鉛メッキ+塗装で防錆処理されている。
価格が抑えやすく、メッシュデザインが中心。
アルミに比べて錆びやすい。
人工木・樹脂木 木の質感を再現し、目隠し性能が高い。
横格子または縦格子デザインが主流。

支柱はアルミ製を使う。

アルミ・スチールより耐久性はやや劣る。
耐候性、耐色性は劣る。

 

アルミフェンスの表面は、粉体塗装または熱転写ラッピング。

 

スチールフェンスは、電気亜鉛メッキ+樹脂焼付塗装で防錆。

 

樹脂木フェンスは、素材そのものに色を練り込み、塗装ではなく押出成形。

 

 

 

 

価格差は距離や現場条件によりますが、アルミと樹脂木の差は、一般住宅外構では極端に大きくはありません。

 

フェンス製造メーカーの施工基準

フェンスは本体を支えるために「支柱」を建てます。

 

この支柱が倒れないようにするため、各メーカーは耐風圧基準を定めています。

 

施工時は、その基準風速を守ることが安全の第一歩です。

 

仕様区分 支柱間隔 想定風速
標準仕様 2m以下 34m/s
強風地域仕様 1m以下 42m/s

 

リクシル公式サイト フェンス

 

支柱基礎について

コンクリートブロック基礎

積み上げたコンクリートブロックの内部に支柱を建てて支える方法です。

 

ブロック厚 対応高さ 特徴
120mm 地盤面から 約1.2mまで 標準的な境界フェンスに多い
150mm 地盤面から 約1.6mまで 目隠し用途に多い

 

高さを求めるほど、支柱径は太くなります。

 

 

独立基礎

地中にコンクリート基礎を個別に設け、そこへ支柱を埋設して固定する方法です。

 

 

地上高さ3m程度まで対応可能です。

 

フェンス本体を上下に積み重ねる「多段施工」にも対応します。

 

目隠しで高さを求める場合、一般的な基礎施工です。

 

支柱の本数とピッチ間隔

求める高さや地域の風速に応じて、支柱本数を増やす必要があります。

 

支柱間隔を短くすることで、耐風圧強度を高めます。

 

 

フェンス本体

一般住宅外構では、次のようなタイプに分類されます。

 

分類 主な特徴
縦格子(アルミ) シンプルで風を通しやすい。
隙間が広く、軽快な印象。
横格子(アルミ) 水平ラインが強調され、外観デザインと調和しやすい。
ルーバータイプ 完全目隠し仕様。風は通すが視線は遮る。
格子間ピッチ15mm前後で「目隠し」と認識される。
スチールメッシュ 通風性が高く、境界明示や防犯用途に多い。
人工木・樹脂木(縦・横格子) 木調で温かみがある。プライバシー重視の住宅に多い。

 

縦格子フェンス例
縦格子
横格子フェンス例
横格子
目隠しルーバーフェンス例
目隠しルーバー
スチールメッシュフェンス例
スチールメッシュ
人工木・樹脂木フェンス例
人工木・樹脂木

耐久性の保護膜について

フェンスも車と同じく、塗膜(保護膜)によって素材を守っています。

 

対象素材 塗膜名称・仕上げ方法 特徴
アルミ 粉体塗装/熱転写ラッピング 静電気で粉体樹脂を焼付。色持ちが良く、耐候性に優れる。
ラッピングは木調転写フィルムによる意匠仕上げ。
スチール 電気亜鉛メッキ+ポリエステル樹脂焼付塗装 防錆処理後に焼付塗装。強度と光沢を両立。
樹脂木 無塗装(押出成形) 樹脂と木粉を混合し、色を内部まで練り込む製法。表面にUVカット層を施す製品もある。

 

高さと構造の関係

高さを上げるほど、基礎の数と支柱の数は増えます。

 

これは風を受ける面積が広がるためです。

 

「目隠しを強くする」=「構造を強くする」という理解が大切です。

 

 

まとめ

判断の基準は、次の三つだけで十分です。

 

  1. 求める高さ。防犯・プライバシーの目的
  2. 目隠しの要否。視線を遮る必要があるか
  3. デザイン。単色、木調、メタリック

 

この三つの順に整理すれば、素材も工法も自然に決まります。

 

フェンスは飾りではなく、支えがあって初めて形になるものです。

 

構造を理解することで、安心して、正しく、美しく選べるようになります。

 

※掲載画像の一部はメーカー公式サイト LIXIL様より引用・転載しております。

出典:LIXIL株式会社「フェンス・門扉カタログ」

 

監修:荻野勝幸(一級左官技能士・一級エクステリアプランナー)

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