カーポートについて
2025/10/30
カーポートは、構造を理解して検討していただけると良いかと思います。
「構造の違い」を理解することで、選び方の基準が見えてきます。
商品比較ではなく、考え方の整理として構造の基本をまとめてみました。
考え方
カーポートの基本構成は「屋根材」「支柱」「コンクリート基礎」「施工」の四つの組み合わせで成り立っています。
価格やデザインの印象だけでなく、どのように柱を支え、どのように固定されているかを見てみると構造の意味がわかりやすくなります。
数字やカタログよりも、「暮らし方や敷地条件に合っているか」という視点が大切です。
構造
まず一般的な分類を整理します。
屋根材の違い・支柱の違い・強度の考え方。この三つで全体像がつかめます。
屋根材の違い
- ポリカーボネート屋根:軽量で透光性があり、住宅に馴染みやすいタイプです。

- 折半スチール屋根:遮熱性が高く、ガルバリウム鋼板製の屋根材で、積雪地域などで採用されることが多いです。

屋根材比較
| 項目 | ポリカーボネート(PC) | ガルバリウム鋼板(GL鋼板) |
|---|---|---|
| 主成分 | 熱可塑性樹脂(ポリカーボネート樹脂) | 鋼板にアルミ55%+亜鉛43%+シリコン2%の合金めっき |
| 構造分類 | 樹脂系(非金属) | 金属系(スチールベース) |
| 重量 | 非常に軽い(約2〜3kg/m²) | やや重い(約5〜10kg/m²) |
| 光の透過性 | 高い(透明・半透明タイプあり) | なし(完全遮光) |
| 遮熱・断熱性 | 遮熱タイプあり(熱線カット仕様など) | 金属特性で熱伝導が高い(断熱材併用で改善可) |
| 耐久性 | 約10〜15年(紫外線劣化が出る場合あり) | 約25〜40年(塗装・環境条件により変動) |
| 耐風・耐雪性 | 中程度(地域基準による) | 非常に高い(折半構造で強度抜群) |
| 防音性 | 雨音がやや響くが柔らかい | 雨音が大きく共鳴しやすい(金属特有) |
| メンテナンス性 | 汚れにくく軽清掃可。ただし経年で黄ばみが出る場合があります。 | 再塗装で寿命を延ばせる。サビ対策が重要。 |
| コスト目安 | 安価(㎡あたり 約3,000〜6,000円) | 中〜高(㎡あたり 約6,000〜12,000円) |
| 意匠性 | 明るく軽快な印象。住宅・テラス向き。 | 重厚感と高級感。ガレージ・大型カーポート向き。 |
| 代表的用途 | テラス屋根・片流れカーポート・洗濯干し場など。 | 折半カーポート・ビルトインガレージ・工場屋根など。 |
支柱構造の違い
- 片支持 二本柱:出入りしやすく、外観がすっきりします。風荷重への配慮が必要です。

- 両支持 四本柱:安定性が高く、二台並列や大型車に向いています。

- 後方支持:前方に柱がないため、運転時の動線が広く取れます。

- 側面支持:敷地対応型の特殊設計です。設計自由度が高い反面、対応メーカーが限られます。

強度と基礎
製造メーカーさんが公表している、耐風圧や耐積雪の基準数値は参考になります。
ただし実際の性能は、現場の基礎や施工条件によっても変わってきます。
カタログ数値と敷地の環境を合わせて考えることが、安心につながります。
よくある疑問と考え方
| よくある考え方 | 考えるヒント |
|---|---|
| ネットの最安値はなぜ違うのか。 | 同じ製品でも、基礎や施工方法の違いで仕上がりや耐久性が変わることがあります。 |
| 耐風圧や耐積雪の数値だけを見れば安心。 | 数値は目安です。敷地の風向きや周囲の建物など、環境条件も考慮するとより現実的です。 |
| 標準施工ならどの現場でも同じ。 | 標準には前提条件があります。地盤の状態や土間との取り合いで調整が必要なこともあります。 |
| 建築確認は必ず必要。 | 条件によって異なります。面積や位置、用途によって判断が分かれる場合があります。 |
選び方の流れ
屋根材を決め、敷地に合う柱構造を検討します。
風の抜けや方位、日当たりを確認し、強度と基礎仕様を合わせて考えます。
オプションやデザインは最後に調整すると、全体のバランスが取りやすくなります。
長持ちのためのヒント
メーカーの公式サイトやカタログで仕様を確認します。
ネットショップの価格も参考になりますが、施工業者や基礎仕様の違いを確認しておくと安心です。
価格差には、施工内容や材料条件の違いが含まれていることがあります。
理解のためのヒント
カーポート選びで大切なのは、「どんな構造で支えられているか」を知ることです。
構造を理解すると、見た目や価格だけではない選び方が見えてきます。
※本ページ内の画像・リンク参照元は、すべて三協アルミさん公式サイトより引用しています。
監修:荻野勝幸(一級左官技能士・一級エクステリアプランナー)









