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スリット目地、隙間について、土間コンクリートの考え方

土間コンクリートにスリット目地や隙間を入れると、おしゃれに見える。

 

コンクリートとコンクリートの間に隙間を作ると、デザイン的に美しく見える。

 

そう思い込む前に、考えてほしいことがあります。

 

なぜなら、土間コンクリート仕上げは「構造」で考えると、後悔しないと思います。

 

よくある誤解

スリットはデザインのために入れるもの。
幾何学模様でかっこいい。
スリットが多いほど高級に見える。
とりあえず入れておけば割れにくい。

 

私どもの見解

スリット目地は、デザイン目的で入れるものではないと考えています。

 

構造上の意味を理解しないまま入れると、失敗後悔の原因になることがあります。

 

スリット目地は、基本的には不要です。理由は三つあります。

 

  1. コンクリートの一体構造としての性能が損なわれる。
  2. 目地やスリット、隙間があると、雑草・泥・汚れの発生源になる。
  3. 排水や勾配の設計を乱し、水が溜まりやすくなる。

 

住んでみて後悔するケース

  • 駐車場全面に細かいスリットを入れた結果、雑草と泥だまりに悩む。
  • スリット中の砂利が雨で減ったり、タイヤで引っ張られて減っていく。
  • 場所によっては、風でゴミを受けやすく、溜まりやすくなる。
  • 段差が発生し、歩行しづらい。ベビーカーではガタつく。
  • 地被植物を植える場合は、維持管理の覚悟が必要。

 

駐車場の目地を埋める工事
スリットを無くし、一体構造で仕上げた駐車場事例。滑らかで掃除も簡単。

弊社での施工例はこちら

 

正しい設計の考え方

そもそも、コンクリートは割れるものです。

 

割れないように施工しているのではなく、「どこで割れるか」を設計しています。


基本は、一体構造で滑らかに仕上げることです。

 

ひび割れの抑制方法は二つしかありません。


一つは、亀裂緩衝棒材による伸縮目地。

 


もう一つは、意図的に入れるカッター目地施工です。

 

 

視覚上の区切りは、色や仕上げの切り替えで対応し、排水は最短距離で水を逃がす。


スリットに頼らない設計を基本としています。

 

例外的に必要となる場合

敷地条件によっては、スリットを設ける方が合理的な場合もあります。

 

たとえば、排水計画が取りづらい敷地では、スリット目地を間に設け、自然排水溝として活用する設計も可能です。

 

ただし、それは“排水機能のための構造”であり、デザイン目的ではありません。

 

弊社での工夫

  • セメントレンガや天然石材など、舗装材で見切る。
  • フラットな面を設け、床面舗装を一体仕上げにする。
  • 縁部はエッジを丁寧に取り、影のラインで締める。

 

スリットを無くした滑らかな駐車場の完成例
スリットに頼らず、構造と勾配で排水を整えた施工例。

まとめ

スリット目地や隙間は飾りではありません。

 

構造の美しさとメンテナンス性を優先すると、多くの場合は不要ではないかと考えています。


10年、20年後に「埋めたい」「不要だった」というご相談を多くいただくからこそ、そう考えています。

 

外構デザインは、見た目ではなく「構造から考える」ことが大切だと考えています。

 

それが長く美しく保つ一番の近道だと思います。

 

よくある質問

Q:スリットを一本も入れないと割れませんか?
A:割れはゼロにはできません。伸縮目地とカッター目地で割れ位置を管理します。

 

Q:デザイン性は落ちませんか?
A:見せ場を限定し、素材を切り替える方が上質です。全体は一体、見せ場で勝負します。

 

Q:掃除は楽になりますか?
A:目地やスリットが減るほど、汚れは溜まりにくくなります。

 

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監修:荻野勝幸(一級左官技能士・一級エクステリアプランナー)

 

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